大人の土日遠足

普段は不動産会社に勤務している会社員です。土日だけ、軽やかで、自由。 普通列車や夜行バス。決して贅沢ではない大人の遠足について記します。

大阪出張から逃げ出して【大阪】

上司や取引先と仕事以外でも密にコミュニケーションをとり、親睦を深める。それによって相手のことを理解し、仕事が進めやすくなる。

 

当時、小売店のシステム部門で勤務していた私は、そのような考えを持っている上司の元で働いていた。飲み会がもたらす一定の効果については賛成だが、それでも会社の飲み会は好きではない。

 

ある日の早朝、自社の大阪支店に対して交渉事をすべく、新幹線のぞみ号に乗っていた。

 

日帰りの大阪出張である。

 

日帰りの大阪出張。私はこれが大嫌いであった。
何故テレビ会議ではいけないのか。早朝に家を出て、夜遅く東京に戻る。これほど時間とお金を無駄にしているものもない。

 

夕方、支店との会議が終わるとすぐに、「では、このあと飲みにでも…」という会話が始まるのを察知した。飲み会嫌いな私は、「本日は予定があるので失礼します」と言い残し、足早に支店を去った。

 

明日、自分のデスクに戻ったら、上司に「大阪支店の人と飲みに行った?」と聞かれるだろう。そんなの分かっている。分かっているけど、飲み会に行きたくない気持ちが上回ったのだから仕方がない。

 

支店から逃げるように退勤した私は、夕食をとるため、なんばの自由軒に向かっていた。

 

自由軒はカレーで有名な洋食屋である。
私は一応、旅行好きの者であるから、大阪には何度も来ている。粉モンからスイーツに至るまで、ありとあらゆる大阪グルメを口にしてきた。

 

そんな私も、自由軒を訪れたのは今回が初めてだった。駅から近いわけでもないこの自由軒には、単純に行く機会がなかったのである。

 

なんば駅から出ると、すぐにお店に到着した。洒落っ気のない洋食屋の店構えが、一人で来るのに相応しかったと思わせてくれる。

 

テレビや雑誌で何度も見たことのあるカレーが目の前に運ばれてくる。一口食べてみると、お婆ちゃんの家で出てきそうな、マイルドな味であった。

 

夕食が済んだところで新大阪駅に向かい、再び新幹線のぞみ号に乗って帰路に着いた。


もうすぐ東京に着くという頃、輝く武蔵小杉の高層ビル群を見て、「あぁ、やっと帰れた」と、深く安堵した。

 

今回は、その安堵感と合わせて、少しとはいえ大阪を楽しめたことに満足感を覚えていた。

 

大阪出張も、たまには悪くない。

 


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少しジャンキーで、少し懐かしい。そんな味のカレー。


〜この日のルート〜
早朝、東海道新幹線で新大阪へ。そこから地下鉄で大阪支店へ移動。業務終了後は大阪支店から地下鉄でなんば駅へ向かい、自由軒で夕食。帰りはなんば駅から新大阪駅まで地下鉄で移動し、東海道新幹線で東京へ戻った。
会社のお金なので、のぞみ号は指定席。少しリッチである。