仕事後の一杯【小淵沢】
土曜日、長野市に来ていた私は、GoogleMapを眺め、ある一つの土地に心惹かれていた。
小淵沢である。
当時勤務していた会社で隣の席に座っていた上司が、小淵沢の話をよくしてくれた。
当時の上司は、数年前、営業マンとして小淵沢の企業によく通っていたという。
会社のある新宿からは特急あずさに乗っても2時間かかる。それでも、美しい山々と小淵沢駅の山賊蕎麦たるものを食べると心が満たされたそうだ。
長野駅から小淵沢までは、決して近いわけではない。しかし、東京の家から行くよりは近いこともあり、小淵沢に寄り道することに決めた。
長野駅から小淵沢に行くルートは幾つかあったが、しなの鉄道で小諸まで行き、そこから小梅線に乗り換えるルートで行くことに決めた。
というのも、小諸駅から小淵沢駅まではハイレール1375という観光列車が走っている。それも840円の追加料金を払うだけで乗れるという。
昼過ぎに長野駅を出発した私は小諸まで移動し、ハイレールに乗り込んだ。小諸から小淵沢は2時間半の道のりであったが、美しい山風景を見ることができたためか、飽きることなくその列車旅を終えた。
そして、だ。
小淵沢に到着した私は、上司が好きだと言っていた立ち食い蕎麦屋・丸政で食券を購入した。
頼んだのは、勿論山賊蕎麦だ。
山賊とは、山賊焼きのことで、無骨なジャンボ唐揚げのようなものである。
一口食べてみると、山賊焼きは勿論、蕎麦自体が立ち食い蕎麦のクオリティを超えている。食べ進めるうちに山賊焼きの風味が汁全体に広がり、ますます美味しい。
あっという間に食べ終えた私は、こんなことを考えながら帰りの中央線を待った。
上司にとってこの山賊蕎麦は、新幹線のぞみでサラリーマンが飲むビールのように、仕事終わりの喜びを感じられる一杯なのだなと。
丸政の山賊蕎麦。山賊焼きが大きく、満足感がある。
〜この日のルート〜
長野駅からしなの鉄道で小諸駅へ。小諸駅からはJR小海線で小淵沢駅、そこからJR中央線に乗り換え甲府まで。甲府からは富士急行の高速バスで新宿へと戻った。(小淵沢駅からずっと中央線に乗っているより、甲府で高速バスに乗り換えたほうが安い。お金がなくて時間がある方にオススメ。)